所得税・消費税調査 追徴税額がそれぞれコロナ前の水準に近接
2022/11/29
国税庁はこのほど、令和3事務年度における所得税および消費税調査等の状況を公表した。それによると、所得税の実地調査の件数は、特別調査・一般調査が2万4067件(対前年比128.6%)、着眼調査が7340件(同144.2%)、簡易な接触の件数は56万8340件(同118.8%)で、これらの調査等の合計件数は59万9747件(同119.4%)。そのうち申告漏れ等の非違があった件数は31万7189件(同113.6%)だった。
申告漏れ所得(調査等の対象となったすべての年分の合計)金額の状況を見ると、特別調査・一般調査によるものが3882億円(同140.1%)、着眼調査によるものは316億円(同142.3%)。一方、簡易な接触による申告漏れ所得金額は3004億円(同116.2%)。調査等の合計は7202億円(同129.1%)となっている。
実地調査による追徴税額は、特別調査・一般調査によるものが777億円(同151.2%)、着眼調査によるものは26億円(同136.8%)で、合計804億円(同150.8%)。新型コロナウイルスの影響により実地調査の件数は依然として低水準だが、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を優先して調査した結果、追徴税額の総額は、新型コロナウイルス感染症の影響前の水準に近接した。
実地調査による追徴税額を1件当たりでみると256万円となっており、前事務年度の1件当たりの追徴税額224万円よりも増加した。なお、簡易な接触による追徴税額は254億円(同127.6%)となり、合計1058億円(同144.5%)となっている。
一方、消費税(個人事業者)の調査等を見ると、実地調査の件数は、特別調査・一般調査が1万3559件(同145.8%)、着眼調査が3349件(同188.7%)、簡易な接触の件数は6万8291件(同90.5%)となり、調査等の合計件数は8万5199件(同98.5%)。そのうち申告漏れ等の非違があった件数は5万5281件(同113.9%)だった。
追徴税額(調査等の対象となったすべての年分の合計で加算税を含む)は、特別調査・一般調査が228億円(同179.5%)、着眼調査は13億円(同260.0%)。こちらも新型コロナウイルスの影響で実地調査件数は減少したが、追徴税額の総額は新型コロナウイルス感染症の影響前の水準に近接している。
追徴税額を1件当たりでみると143万円となっており、前事務年度の120万円よりも増加した。簡易な接触による追徴税額は71億円(同147.9%)で、調査等合計で312億円(同173.3%)となっている。